更新日:
脂肪吸引をしたらバランスの悪い体つきになった、皮膚が凸凹になった、吸引箇所がたるんだなど、脂肪吸引後のひどい仕上がりに頭を悩ませている方は多くいらっしゃいます。
ここでは、脂肪吸引にはどんな失敗があるのか、失敗しないためにはどんな医師やクリニックを選べば良いのかなど、脂肪吸引の失敗に関するお悩みや解決方法を、ザ・クリニックの大橋昌敬が解説します。
1.脂肪吸引で起こっている失敗を教えてください
失敗には様々なケースがあります。ここでは脂肪吸引でよく起こる失敗を紹介しましょう。
大橋ドクターの解説
失敗①バランスが不自然
体のラインが崩れ、アンバランスになってしまう失敗です。二の腕や腹部、太もも、お尻などでよく起こります。原因は過度な吸引です。失敗が起こりやすい部位には、脂肪が柔らかくて吸引しやすい部分と、硬くて吸引しにくい部分があります。例えば、二の腕の場合は中央、太ももの場合は内側の柔らかい脂肪ばかりを吸引してしまうことで、結果的に全体のバランスが崩れてしまうのです。
失敗の修正方法はこちら→脂肪の過度な吸引や取り残しの修正方法
失敗②段差ができた
隣接部とのバランスを考えずに吸引することで起こります。例えば、ふくらはぎの場合だと足首とのバランスを考えずに脂肪を吸引することで、足首とふくらはぎの間に段差ができてしまうことがあります。吸引範囲が広い腹部の場合は、取りムラによって段差ができてしまうことも。不自然さが顕著に見えるため、修正依頼が多いケースです。
失敗の修正方法はこちら→脂肪の過度な吸引や取り残しの修正方法
失敗③凸凹になった
失敗④溝ができた
カニューレの通った部分だけが溝のようにくぼみ、細いラインが残ってしまう失敗です。担当医が動かしやすい方向に何度もカニューレを動かしてしまうことで、その部分だけ吸引される回数が増え、その結果溝として残ってしまいます。
失敗の修正方法はこちら→皮膚と筋肉の癒着の修正方法
失敗⑤引き攣れ感がある
吸引箇所の皮膚が突っ張ってしまう失敗です。原因は、必要な脂肪まで取りすぎてしまうことで起こる皮膚と筋肉の癒着。腕や脚など、関節があり曲げ伸ばしが多い部位は動かしづらさを感じることもあります。
失敗の修正方法はこちら→皮膚と筋肉の癒着の修正方法
失敗⑥皮膚の色素沈着
肌表面が茶色く変色してしまいます。主な原因は脂肪の取り過ぎで皮膚と筋肉が癒着を起こしすこと。癒着した部分の血流が悪くなることで肌の明るさや透明感が失われ、茶色く質感もガサガサになってしまいます。
失敗の修正方法はこちら→皮膚と筋肉の癒着の修正方法
失敗⑦お尻が垂れた
お尻と太ももの境目の脂肪を吸引しすぎることで起こります。お尻の丸い立体感は、実は太ももとの付け根の脂肪が支えています。この境目部分の脂肪を取りすぎてしまうと、お尻の脂肪が支えきれなくなり、結果下垂してしまうのです。
失敗の修正方法はこちら→お尻が垂れた時の修正方法
失敗⑧皮膚がたるんだ
脂肪吸引によって皮膚が余り、たるんでしまう失敗です。皮膚に近い浅い層の脂肪を取りすぎたり、雑に吸引し皮下組織を傷付けることで起こります。
失敗の修正方法はこちら→たるんだ皮膚の修正方法
失敗⑨傷口が目立つ
カニューレの痕が目立つ傷口として残ってしまう失敗です。カニューレを動かした際の摩擦熱で挿入口が火傷し、ケロイドになっているケースもあります。通常であれば吸引口は極力目立たない箇所に作り、皮膚を必要以上に傷付けないためにスキンポートという器具を装着して脂肪吸引を行います。
失敗の修正方法はこちら→傷口の修正方法
2.修正する場合、どんな方法で行うのでしょうか?
失敗によって修正方法も変わってきます。ここでは失敗ごとの修正方法をご紹介します。
大橋ドクターの解説
脂肪の過度な吸引や取り残しの修正
修正にはベイザーリポを使用し、取り残されている脂肪を再吸引します。一度施術した部位の脂肪は線維化して通常の脂肪より硬くなっているのが特徴です。そのため、脂肪の再吸引は通常の脂肪吸引よりも難しく、技術のいる手法でもあります。
脂肪の取りすぎで凹んだ部分には、CRF(コンデンスリッチファット)を注入します。CRFは、死活細胞や老化細胞などの不純物を除去した細胞のことです。採取した脂肪は外気に触れさせずに特許技術のフィルターを用いた特殊な遠心分離にかけ、良質な細胞のみの状態にします。細胞が良質なので、定着率が高いことが特徴です。こうすることで、なめらかなバランスの取れたボディラインに修正します。
皮膚と筋肉の癒着の修正
脂肪の過度な吸引で皮膚と筋肉が癒着してしまっている場合は、ベイザーリポの特殊な超音波ベイザー波は皮膚と筋肉の癒着をはがし、脂肪を柔らかく均すことができます。均した後は、吸引しすぎてしまった脂肪を補うために、CRFを注入。良質な細胞でくすんだ肌質もかなり改善されるはずです。
お尻の形の修正
脂肪を取られすぎてしまったお尻の下にCRFを注入することで修正します。下からボリュームアップすることで、お尻上部のヒップアップ効果につながり、女性らしい丸みを帯びたお尻に仕上がります。
たるんだ皮膚の修正
たるみの引き締めにはサーミタイトが有効です。サーミタイトとは、皮下に高周波の熱を照射して、伸びた皮膚を収縮する施術。広範囲の皮膚を均等に引き締めることができます。
傷口の修正
色素沈着を起こしていたり、ケロイドになった傷は自然治癒が難しいです。修正には傷口の周辺を切り取る縫合治療を行います。縫合痕は残らないように施術を行いますが、完全にきれいな肌に戻すことは難しいでしょう。脂肪吸引の失敗の中でも治療が困難な例です。
3.医師選びで失敗しないためにはどうしたらいいですか?
医師の経験と資格の有無をチェックしましょう。
大橋ドクターの解説
チェックポイント①医師の脂肪吸引経験
脂肪吸引の症例数が豊富なドクターを選んでください。症例数は、医師の経験やスキルを表す指標の一つです。また、経験している症例がベイザー脂肪吸引であることも忘れずにチェックしてください。ベイザーリポは約90%の脂肪が吸引でき、脂肪以外の組織を傷付けない安全で高性能な脂肪吸引機器です。
チェックポイント②資格の有無
一方、ベイザーリポはとても高性能な機器でもあります。そのため、使いこなすには一定の知識と技術が必要です。こうした能力の有無を判断する目安の一つとなるのが認定医資格です。ベイザーリポには認定医制度があります。この資格はトレーニングセミナーを修了し、ベイザーリポの専門的な知識と操作法を習得した医師だけが取得でる資格です。
チェックポイント③実際に医師と会って話を聞く
大事な体を預けるのだから、担当する医師が誠実で信頼できる人物かどうかも見極めておきたいところ。そのためには実際に会って話してみるのが一番です。いくつか気になるクリニックをピックアップして、まずはカウンセリングを受けてみましょう。たとえ症例数が豊富で専門的な資格をもつ医師であっても、要望をうまく汲み取ってくれない、美的センスが違うと感じたら要注意です。
カウンセリングに行きたいけど、何を聞いていいかわからないという方には、ドクターの技量や施術への考え方を聞き取るためのカウンセリングシートがあります。クリニックの比較検討用としてご活用ください。
こちらからダウンロード→脂肪吸引のカウンセリングシート(質問集)
4.治療技術以外だと、どんなところに力を入れているクリニックを選べば良いでしょうか?
麻酔管理と衛生管理が徹底されているクリニックを選びましょう。
大橋ドクターの解説
手術環境が整ったクリニック選びを
どんなに医師の腕が良くても、クリニックの環境が整っていなければ失敗の原因になりかねません。
麻酔は手術の事故につながることもあるため、適切な管理を行っているクリニックを選ぶようにしましょう。当院の場合は、手術中の麻酔・全身管理は麻酔科医の指導に基づいて行っています。専門医による適切な麻酔管理は欠かせません。
オペ室の衛生面のチェックも大切です。本来、病院やクリニックのオペ室は衛生面が徹底されているはずですが、中には手術室がカーテンで仕切られているだけという施設もあるようです。オペ室は細菌汚染を防ぐために、完全個室になっていることが鉄則となります。
5.脂肪吸引後3ヶ月、細さを実感できないのは失敗ですか?
ダウンタイムの一つである硬縮が残っていることが考えられます。
大橋ドクターの解説
硬縮は術後必ず現れる症状
硬縮とは、脂肪吸引後に皮膚が引き締まっていく過程のことです。皮膚の突っ張りや皮膚の下がぼこぼこした状態になります。程度には個人差がありますが、概ね術後2週間頃から出始め、6ヶ月頃まで続きます。脂肪吸引後に必ず現れる症状ですので、心配ありません。
術後3ヶ月ですと、まだ硬縮が残っている時期なので、改善すればしっかり皮膚が引き締まり、よりスリムになるでしょう。術後6ヶ月以上が経過しても変化がない場合は、一度施術を受けたクリニックに相談してみてください。
また、硬縮のケアには施術部位の加温、皮膚の深部まで加温ができる高周波トリートメント(当院で受けていただけます)などがおすすめです。血行の促進を良くしてくれます。他にはマッサージやストレッチなど、体を動かす方法も血流が良くなり、栄養素が豊富に術部に送られるので硬縮の回復が早まりまります。
6.死亡事故に関するニュースもありますが、脂肪吸引は危険なんですか?
正しい方法で行えば、まず危険なことはありません。
大橋ドクターの解説
事故原因①局所麻酔中毒
美容クリニックでの事故がニュースで報道されたこともあるため、脂肪吸引に不安を抱く方もいらっしゃるでしょう。しかし、正しい方法で施術を行えば危険は回避できます。
美容クリニックで起こった事故原因の一つとして、麻酔を大量に注入することで起こる中毒症状(局所麻酔中毒)があげられます。軽度であればめまい、ろれつが回らない、吐き気などの症状が出ます。中等度になると意識混濁や血圧低下が起こり、重度は呼吸停止、けいれん、昏睡状態などが起こるため、命に関わり危険です。
しかし、これは適切な量の麻酔を注入し、術中の麻酔管理を徹底すれば避けることができる事故です。
当院では全身麻酔の一種で、点滴で注入を行う静脈麻酔と、脂肪吸引範囲全体に薄い局所麻酔(チューメセントテクニック)を採用しています。麻酔はシリンジポンプ(時間単位で設定した量を投与する器械)で投与量を管理しているため、過剰投与のリスクは抑えられます。また、麻酔科専門の常勤医師が在籍し、麻酔科医の指導に基づいて手術中の麻酔・全身管理を行っています。
事故原因②カニューレによる臓器損傷
お腹の脂肪吸引の場合に起こる可能性がある事故です。腹壁瘢痕ヘルニア(腹壁の傷跡から臓器が脱した状態)や臍ヘルニア(でべそ)などは気がつかないまま手術をすると内臓を傷付けてしまう恐れがあります。
そのため、当院でお腹の脂肪吸引をする場合は、術前の診察でゲスト自身に上記について確認し、それらの症状が疑われる場合はエコーを使って臓器の位置関係の確認を行います。術前にお腹の状態をしっかりと把握し、その状態を考慮した上で施術を行えば、ほとんど起こりにくい事故です。
事故原因③血管内脱水
脂肪吸引から数日後に起こる可能性がある症状として、血管内脱水があげられます。脂肪吸引から3日後はむくみのピークです。むくみは脂肪があったスペースに体液(主に血漿成分やリンパ液と考えられる)が浸み出してスペースを埋めようとすることで起こります。そのため体内の水分量が偏り、血がドロドロになって血栓(血の塊)が作られやすい状態になってしまうのです。血栓ができ、血管内を流れてしまうと肺や脳、心臓などで血管が詰まり、肺塞栓(エコノミークラス症候群)、心筋梗塞、脳梗塞など、命に関わるような疾患につながってしまう可能性があります。
術後のむくみが強い時期は、自分でも気付かないうちに脱水を起こしていることが多いです。水分をこまめにしっかりと摂り、脱水状態にならないよう心がけましょう。
経験豊富なクリニックで危険を回避
美容クリニックでありえる事故原因について紹介してきましたが、麻酔の適切な管理や医師の術前診察、脂肪吸引後のこまめな水分補給など、事故原因はすべて回避が可能なものです。とは言え、事故が100%起こらないという保証はできません。
大事なことは、緊急時の対応もきちんとできる態勢が整ったクリニックを選ぶことです。
7.ベイザー脂肪吸引でやけどのリスクがあるというのは本当でしょうか?
専門の施設では、こうした初歩的なミスはまず起こりません。
大橋ドクターの解説
ベイザー脂肪吸引では脂肪にベイザー波という超音波を照射します。この時熱を発するので、やり方を間違えばやけどする可能性はあります。ただし、このようなミスは初歩中の初歩。ベイザーを専門に扱っているような施設ではまず起こり得ないとお考えください。
やけどを回避するために注意すべきこと
ベイザーを照射する管が皮膚に触れないように配慮します。また、挿入時も、管が直接皮膚に触れないように、スキンポートなどの器具でガードすることが必要です。超音波の周波数も規定のラインがありますので、その範囲で処理していきます。
正しく使えば、他の脂肪吸引と変わらず安全
実際、比較的最近登場したアキーセル脂肪吸引と比べてみたのですが、目立った温度上昇は認められませんでした。ベイザーだからハイリスクというより、使用するドクターの経験や技術力によってリスクは変わってくるとお考えいただいた方が良いでしょう。繰り返しになりますが、脂肪吸引では、それだけドクター選びが重要になってきます。